植物の生き方

【植物の生き方】

植物は 「光合成」 で、生きるための栄養を
自分で作れる
「独立栄養生物」 です。

動物(人間も)は、植物を食べることで生きることが出来る
  「従属栄養生物」 なのです。


植物の生態を知る前に、「土」とは何かを、理解しておく必要があります。
岩石が風化して細かくなった物が、「砂」です。砂が、水や空気との化学反応によって出来た物が、「粘土」です。
そして、砂と粘土が混じり合った物を「無機物の土」と云います。
さらに、この「土」に、「土壌微生物」や「土壌動物」が生息することで、腐植物質が蓄積されて、植物類を育てる事が出来る無機物と有機物が混じり合った「豊かな土」になります。
「土」とは、地球の陸地を覆っている、薄い膜のようなものです。土の厚さを、陸地の面積の平均値で計算すると、何とわずか18cmしかありません。「土」は、地球に住む全生物にとって、地球上のあらゆる資源の中でも、もっとも重要でかけがえのない大切な資源なのです。

「土壌動物」とは、モグラ、ネズミ類、ヘビ、トカゲ、サンショウウオ、カタツムリ、ナメクジ、ミミズ類、ヒル、ムカデ、ヤスデ、トビムシ、アリ類、ハエ類、クモ類、ダニ類、ワラジムシ、ダンゴムシ、センチュウ類、ワムシ、ミジンコ類など、その他 多数・・・・

「土壌微生物」とは、細菌類、放線菌、糸状菌、藻類、原生動物、線虫など、その他 多数・・・
豊かな土には1g当たり、微生物が数億から数十億匹とも云われ、一般的な畑では、1ヘクタール当たりで、微生物の生体重量が約6トン位とも云われています。これらの微生物は、自らが作り出す酵素類で植物が食べることが出来ない有機物を、発酵、分解、合成を行い、植物が食べることが出来る腐植(無機物)に変える働きや、土壌の物理性や化学性の改善や、植物の生育を促進し、農薬の分解や無毒化なども行います。微生物は、自らの体内に養分を貯蔵することで、他の生物の食物連鎖の原点となる「餌」としての役割と、食べられることで、生物にとって不可欠な酵素類も提供しています。目に見えない小さな微生物が、地球上のすべての生物と共生し、生物多様性や有機物を無機物に変える「物質変換」という大きな仕事をしています。

大気中に含まれている天然元素類として、
多い順に、チッソ(約78%)、酸素(約21%)、二酸化炭素(約0.04%)、メタン(約0.00018%)、オゾン(約0.000007%)その他、25種類位と云われています。

太陽光で植物に関係するのは、可視放射線です。(植物の光合成と生育を促進する光線です。)
雨の後に「虹」として見える光線類で、400ナノメートルから700ナノメートルの波長は、植物にとって、「有益な光」です。
一方、紫外放射線(400ナノメートル以下)と、赤外放射線(700ナノメートル以上)は、植物(全生物)にとっては、
「有害な光」
となります。

地球にある天然元素(合成することが出来ない物質を元素と云います)
現在、地球上で人工的に合成した元素も含めると、118種類あります。その内、天然元素は、90種類で、それらは、「土」や「植物体」に含まれています。植物が生きるためには、「17種類の元素」が必要で、それらを「必須要素」といいます。
この内、一つでも不足すると、植物は生き続けることは出来ません。
必須要素は、多量要素と微量要素の2つに別けられます。
「多量要素」9種類で、炭素、酸素、水素、チッソ、リン酸、カリ、カルシウム、マグネシウム、イオウです。
「微量要素」8種類で、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ホウ素、モリブデン、塩素、ニッケルです。



植物の生き方

 植物は「タネ」の中に赤色の光(660nm)を感じる物質フィトクロム(Pr)があり、赤色光を感じると発芽スイッチ(Pfr)が作動し、「タネ」の中にある酵素が働きだして発芽が始まり、その後、根と葉に分かれて生長を始めます。葉の気孔から大気中の「二酸化炭素(CO2)」と、葉緑素で太陽光(波長が400nm~700nmまで)を取り込んで、葉緑体の中で「光合成」を行い、有機物の「デンプン」を合成します。根からも必須要素を取り込み、光合成で作ったデンプンから、「糖分、脂質、ビタミン」などを作るために、「鉄」「銅」が必要です。

植物体そのものを大きく生長させるための「たんぱく質」を作るために、「チッソ」や「イオウ」が必要です。植物の根、茎、葉、花、果実など、植物全体に養分の運搬的な役割をするために「リン酸」が必要です。又、根から吸収した「酸素」「水素」「カリ」と、「体内で合成した養分」で、細胞内の「ミトコンドリア」の力を借りて、「ATP」(アデノシン三リン酸)と云うエネルギーの素となる物質を作ります。

この様に、植物が生きるために必要な無機物の必須要素は、何らかの方法で外部から取り込まなくてはなりません。これが一般的に云う植物の食べ物「肥料」なのです。外国では「プラントフード」と云います。

「生物の進化」的な目線で考えてみると、地球上では、微生物、植物、動物の順で発生したと云われます。植物も動物も、初期微生物と同じ「共通祖先遺伝子」(NDK)を持っていて、「真核生物」(細胞内に核を持っている)であり、「多細胞生物」であり、細胞内で「ミトコンドリア」(酸素、水素、カリウムと養分でエネルギーを作る役割をしている生物)と共生しています。
違う点と云えば、植物は生きるために必要な養分を自分自身で作れるため、動く必要はないのです。動物は、自分自身では必要な養分を作れないことが多すぎるので、全ての養分を持ち合わせている「植物」を食べるために、動きまわらねばなりません。動くことは、酸素を多量に使用するため、「活性酸素」を副産物として生成するので、活性酸素消去のため、植物のファイトケミカルが不可欠となります。動物は、植物のおかげで生きることが出来ているのです。

ライオンなどの肉食動物は、草食動物を食べるので、間接的には植物を食べていることと同じなのですが、体調を悪くした時には、植物も食べます。動物の中でも、人間の食べ物は植物に大きく依存しています。
そのために、植物を安定的に手に入れたいことから、計画的植物栽培が始まり農耕文化として発展し、現在でも未来に於いても「農業」はとても大切なのです。

又、植物は、自身が生長するための養分とは別に、有害な紫外線、病原菌、虫や動物の食害から自信を守るための物質「ファイトケミカル」を作ります。「ファイト」は植物で、「ケミカル」は化学物質で、日本語に直訳すると、「植物由来の化学物質」となります。
ファイトケミカルは、およそ10,000種類とも云われ、その働きや特徴などで分類され、大きく5つのグループとなります。

「カロテノイド系」
赤色、緑色、黄色などの天然色素類で、光を吸収したり、防いだりして、光合成にかかわっている物質類です。αカロテン、βカロテン、リコピン、ゼアキサンチン、ルテインなど、約600種類と云われます。

「ポリフェノール系」や「フラボノイド系」
植物が光合成や呼吸を行う時に、自身が酸化しないようにする物質類です。カテキン、大豆サポニン、アントシアニン、カカオポリフェノール、グァバ葉ポリフェノール、クルクミン、ショウガオール、フラボノイドなど、約4,000種類以上と云われます。

「ファイトエストロゲン系」
植物の生長などに係るホルモン類で、害虫の分泌物や、紫外線から自信を守るための役割などもする物質類で、ジベレリン、リグナンや、イソフラボンなどです。

「有機硫黄化合物系」
切った時に、「ツン」とくる刺激臭の物質で、虫や動物にとっては、とても嫌いな臭い物質です。人間の大人は、ニンニク、ニラ、タマネギ、ネギ類、ワサビ、大根など、好んで食べますが、ただし子供は慣れるまで何年も嫌がります。アリシン、アリイン、アホエン、イソシアネートなどです。

「アルカロイド系」
植物は、虫、鳥、動物の食害から自信を守るための防御物質類を作ります。それらの物質の総称を、 「オスモチン」と呼び、「タネ」が完成するまで、植物体内に存在し、「タネ」が完成する頃には消滅します。解りやすく説明すると、トウガラシの種は辛くて虫や動物が食べないとか、バナナや柿は青い内(未熟)はとても「渋く」して食害を防いでおり、タネが完成した頃には、「甘くて美味しい魅力」で鳥や動物を誘い、食べられることで「タネ」を遠くへ運ばせて種属の継承と繁栄を計っているのです。
アルカロイド系のファイトケミカル物質での人類が活用しているものとして、古くから手術の際の麻酔薬で「アヘン」から生合成された「モルヒネ」や、アディポネクチンと似た働きをする「オスモチン」類や、糖類似アルカロイド「DNJ」(デオキシノジリマイシン)など、とても有益なものがあります。又、毒キノコ、トリカブトなどの毒草と云われる有毒なものがありますので、注意をして利用することが必要です。動物類では、「ハブ毒」、スズメ蜂の「毒針」、魚では「フグ毒」、サンゴを食い荒らすオニヒトデやハブクラゲの「刺し毒」など、生物は自信を守るための様々な防御物質と方法を備えています。


私たちは学校で、肥料の3大要素として、「チッソ」「リン酸」「カリ」と教わりました。この3大要素の「チッソ」は、空気中のチッソから、「カリ」は太陽から届く放射線カリウムと天然のカリ鉱石から、「リン酸」は天然のリン鉱石を粉砕した資材です。「チッソ」と「カリ」は、地球上には無限といってよい程ありますが、石油がいずれ枯渇するように、「リン鉱石」は限りある資源なので、いずれ枯渇します。リン鉱石の枯渇は、近い将来、「化学肥料農業」の終わりを意味しますが、地球上では、人口が増え続け、将来、食糧不足や食糧危機が訪れると心配されております。現在の食糧生産は、化学肥料に大きく依存しています。近い将来、化学肥料農業がいずれ終わりとなるのであれば、古来より脈々と営まれてきた「有機肥料農業」の復活を、なるべく早く実現させなければなりません。


最後に、自然界の植物は、人間の手を借りずとも生きているのに、人間が営む畑では、なぜ、「肥料」をやらなければ、植物は生育することが出来ないのでしょうか?
自然界の植物は、「そこで生まれ」、「そこで育ち」、「そこで死ぬ」ので、生きるために使った物質がそこで循環し、そこに生物多様性や食物連鎖が起き、生命の輪廻が永遠に続くのです。

人間の営む畑は、作物が育った頃に「人間の食物として畑から持ち出される」ため、作物が吸い取った要素は、土では足りなくなってしまいます。次作には、その不足分を補わなければなりません。特に化学肥料農業(農薬も含む)は、生物多様性や食物連鎖の輪が壊されることで、土の要素のバランスが悪くなり、次第に土はやせてしまいます。このような畑では、植物自身の免疫力が弱くなり、農薬で守らなければ、虫類の食害や病原菌にも負けてしまい、植物は育ちません。又、農薬の連続使用は、虫類や病原菌類の薬剤抵抗性が発生し、さらに強い農薬が必要となっていきます。
一般的に云われる「土づくり」とは、ただ単に、肥料の3大要素を投入すれば済むほど、簡単なことではありません。又、化学肥料はとても安価で便利なため、有機肥料使用農家が激減し、家畜の糞尿が余り、CO2の放出や、環境汚染の原因となっています。
一方、有機質肥料(なたね粕、魚粕、ヌカ、オカラ、骨粉など)や、有機質堆肥(家畜の糞尿類、落ち葉、雑草など)は、元は畑にあったものを畑に戻すような事(元素などの物質返還)で、生物多様性や食物連鎖も活発に起こります。 「自然循環型有機農業」は、人間と地球上の全ての生物との「共生」となりえる唯一の「農法」であり、地球上の人間も含む「全生物」にとっても「食の安全と食の保障」となりえるのではないでしょうか?
近年、世界中の人々から、日本古来の「里山農耕文化」が、生物多様性や地球環境保全などで、大変注目されています。